「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「コーヒー&シガレッツ」などで知られる、ジム・ジャームッシュ監督の最新作「デッド・ドント・ダイ」です。
アダム・ドライバー出演のゾンビ映画だって?それもジム・ジャームッシュ監督?それは観ないとやな〜〜!と思い、私の超大好きな映画館「塚口サンサン劇場」で観てきました。日本での公開は6月でしたが、こちらでは少し後になって上映していました。チケット買う時にタイトルが出てこなくて、「えーと…何だっけ…ゾンビのやつ!!」と叫んで無事購入。
アダム・ドライバーがとても良いフォームでナタを振りかざし、ゾンビの首を飛ばしまくる様子が楽しい作品です。絵に描きたいキャラクターだったので、イラストにしました。
あらすじ
アメリカの田舎町センターヴィル。3人しかいない警察署の署長クリフ(ビル・マーレイ)と巡査ロニー(アダム・ドライバー)は、世捨て人のボブ(トム・ウェイツ)やレイシストの農夫フランク(スティーブ・ブシェミ)、謎めいた葬儀屋の女主人(ティルダ・スウィントン)などの住人たちが暮らす街をパトロールする平和な日々を送っていた。そんなある日、怪事件が起こる。街で唯一のダイナーで、内臓を食いちぎられた女性店員2人の変死体が発見されたのだ。そして突如、街にゾンビが出現し始める。クリフとロニーは「頭を殺れ!(KILL THE HEAD!)」を合言葉に、無数に湧き出てくるゾンビとの激闘に身を投じていく。
この映画、ゾンビというB級感のある題材に似つかわしくない出演陣の豪華さにまず笑えてきます。ビル・マーレイ、アダム・ドライバーを筆頭に、クロエ・セヴィニー、RZA、イギー・ポップなどジャームッシュ・ファミリーといえる面々が集結。イギー・ポップがどこに出てるか最初わからなかったんだけど(何でわからなかったのか自分でもわからない)えらくチョイ役の「コーヒーゾンビ」でした。(笑)
登場人物のキャラクターや会話、空気感を重視した内容で、ゾンビ映画だけどやっぱりジム・ジャームッシュ作品でした。伏線張りまくってるのに、ほとんど回収されません。いかにもキーパーソンっぽい演出をされていた人物があっさり死んでたり(死ぬ時の場面すら出てこない)と、この不条理さが妙にリアルですね。人生って、そうだよな…!
ウータン・クランのマークをシレッと差し込んできたり、絶対入れてくると思ったスターウォーズ要素とか、ちょいちょいネタを挟んで笑かしにかかってきます。度重なるネタの応酬に耐えつつ観てましたが、「Wi-Fiを求めてさまようゾンビ」でついに腹筋が崩壊しました。
この映画は、ゾンビ映画の始祖である、ジョージ・A・ロメロへのリスペクトを込めた、オマージュ的作品でもあるそうです。ジャームッシュ監督って巨匠なのに何で今さらゾンビ映画撮ったんやろ?と思ったけど、監督は子供の頃からホラー映画やゾンビ映画が好きだったそうで、自身のルーツであるホラーへの愛を、独自の世界観と豪華キャストで映画にしたというわけですね。
また、消費文明批判というテーマもあり、この映画のゾンビは物質的文明に毒された現代人を象徴しているとのことですが(ロメロ作品でよく描かれたテーマでもあるようです)まぁでもそれよりはまずゾンビ映画を作りたいというのが先にあったんだろうなという印象ではありました。
ゾンビは、生前の活動や好きだったものに執着します。
私は、将来ゾンビになったら、たぶんダンスミュージックとWi-Fiに執着するだろうなと思います。