パラレルワールド/並行世界/世界線移動系、また量子力学や多世界解釈をテーマにしている映画を紹介します。
ミスター・ノーバディ
なんだこの映画すごいな!?と度肝を抜かれた作品です。
(あらすじ)
2092年、人類の不死が実現した世界で、唯一残る死を迎える人間となった118歳のニモ(ジャレッド・レト)は医者やインタビュアーの質問を通じて自らの過去を回想する。彼の過去は様々な選択によって分岐したあらゆる人生を同時に含んだものであった。
「トト・ザ・ヒーロー」「神様メール」などのジャコ・ヴァン・ドルマル監督作品です。最初の大きな分岐はニモが9歳の時に訪れます。両親が離婚し、母親について行くか父親の元に残るかの選択で、その後の人生が大きく変わります。ニモは母についていった記憶と父についていった記憶の両方を持っており、そこから分岐した何通りもの人生が次々と展開されます。
この映画、脚本が秀逸だなと思います。壮大な思考実験みたいな感じで、非常に数多く分岐した人生が展開されていきますが、よく整理されていて混乱することなく見られます。多分これがトゥルーストーリーだよねっていうルートもひとつあります。(見つけてみてね!)でも、全ての人生は並行して存在し、そのどれにも優劣はなく、どれもが正解なのですね。映像や音楽の美しさも相まって、世界観に没入できます。
ランダム 存在の確率
原題は”Coherence”(コヒーレンス)。
(あらすじ)
ミラー彗星が地球に最も接近する夜、8人の男女はホームパーティーを開いていた。すると、停電で部屋の中が真っ暗になり、8人は不安になり、隣家の様子を見に行くことに。そこで目撃したのは、まったく同じ家に住む、まったく同じ自分たちだった。
彗星の影響?で時空に歪みが発生し、無数のホームパーティが同時に存在する異空間が爆誕してしまうという話。低予算ながら(監督の自宅で撮影したそうです)微妙に過去の記憶が違う?人間がどこかの時点で入れ替わっている?などの展開や、会話劇の演出など、スリラーとして楽しめる作品です。伏線を回収しきれていないのが少し残念。でも後でいろいろ考察したくなる話です。
ミッション:8ミニッツ
原題は”Source Code”(ソースコード)。
(あらすじ)
アメリカ陸軍パイロットのスティーブンス大尉(ジェイク・ギレンホール)が目を覚ますと全くの別人になっており、シカゴ行きの列車に乗っていた。所持していた身分証によると自分は教員で、ショーンという名前のようである。そして8分後、列車が突然爆発して乗客は全員死亡、今度はスティーブンス大尉自身として再び目を覚ます。
ジェイク・ギレンホール扮するスティーブンスはこの8分間を繰り返し、仮想世界で何度も死にながら、これまで赤の他人であった乗客達のことを知り、自らが入り込んでいるショーンと一緒にいた女性クリスティーナを好きになっていきます。乗客達を救いたいという思いが出てきますが、この列車爆発は既に起こってしまったことであり過去は変えられない、と言われます。
タイムリープものの名作と言われていますが、量子力学の考えも入っており、(理論上)並行世界が存在するという考え方が終盤の展開に反映されているので、パラレルワールドものと捉えることもできるかなと思います。少しだけ、どうしても拭えない矛盾があるにはありますが、よく練られた深い内容です。
イエスタデイ
わかりやすく世界線移動しちゃうお話です。
(あらすじ)
売れないシンガーソングライターのジャックは、夢を諦めかけていた。そんな時、世界規模で12秒間の停電が発生。自転車に乗って帰宅途中だったジャックはバスにはねられる交通事故に遭い、昏睡状態に。目を覚ました後、ジャックは「自分以外の誰もビートルズを知らない」ことに気づく。ジャックはビートルズの曲を自作の曲として発表し、有名になっていく。
「ビートルズが存在しなかった世界線」に移動してしまうという話です。ビートルズがいないため、ビートルズに影響を受けたバンドであるoasisもこちらの世界では存在しないことになっています。笑
この設定は「マンデラ・エフェクト」を思い出しますね。
「マンデラ効果」という用語がネット上に現れ始めたのは2010年のことである。これは当時存命中であった南アフリカの指導者ネルソン・マンデラに由来した造語で、実際には2013年まで生存していたマンデラについて、1980年代に獄中死したという記憶を持つ人が大勢現れたという怪現象に対して用いられた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/マンデラ効果
「トレイン・スポッティング」「28日後…」などのダニー・ボイル監督作品ですが、脚本は「ブリジット・ジョーンズの日記」などロマコメの名手として知られるリチャード・カーティスとのことで、SFというよりはファンタジー&ロマコメ色が強い内容になっています。エド・シーランが本人役でがっつり出ていたり、ビートルズへのオマージュ要素などもあって楽しい作品ですが、個人的にはこの話でハードSF寄りにしたものを見たかったな〜という気もします。でも後半の「こっちの世界のあの人」を訪ねる場面は良かったですね。泣けます。